The Honens International Piano Competition & Festival

ホーネンス国際ピアノコンクール & フェスティバル

2018年ニコラス・ナモラーゼが優勝をした、ホーネンス国際ピアノコンクールに関して

ホーネンス国際ピアノコンクールは「21世紀の聴衆のための21世紀の芸術家」の発掘と育成を標榜しています。1992年から3、4年毎にカナダ・カルガリーで開催されており、優勝者には100,000カナダドル(約850万円)と世界の主要ホールでのリサイタルデビューやハイペリオンレーベル(英)からのCDデビューを含む3年間のキャリアサポートが約束されている。その他の特色としては、65分のソロリサイタルとは別に弦楽器・金管楽器・声楽家とのアンサンブルリサイタルも必須とされること、ソロリサイタルのプログラムは自由度が高く現代曲も組み入れることが推奨されていること(アンコールも可!)、加えて事前に行われた予選ラウンドではソロ演奏のほか英語によるインタビュー、そして本選に選ばれた3名も15分間のインタビューが課せられ、それらすべてが審査の対象として考慮されていることなどが挙げられる。出場者には演奏技術だけではなく、国際的に活躍するプロショナルな音楽家として必要な素養が備わっているかどうかも問われるというわけだ。

 

2018年のコンクールでは、芸術監督としてジョン・キムラ・パーカー氏、審査員としてアンドレ・ラプラント、アレッシオ・バックス、イングリット・フリッター各氏他、国際的に活躍している現役ピアニストを中心に、欧米の音楽祭やオーケストラのマネジャーも招かれていることも特筆に値するだろう。審査終了後にセミファイナルおよびファイナル参加者全員が審査員およびメンター(2018年はギャリック・オールソン氏)から直接アドヴァイスをもらえることにも、コンクールを一過性のものとして捉えていない姿勢が伺える。過去にはパヴェル・コレスニコフ、クシシュトフ・ヤブウォンスキ、ジャン=エフラム・バヴゼ、セルゲイ・ババヤン各氏も受賞している(但し2012年以降の回では優勝者のみ選出され、その他の参加者には順位はついていない)。

ホーネンス・オフィシャルHPリンク(英語)

創設者 エスター・ホーネンスについて

ピアノとカルガリーの街を愛していたエスター・ホーネンス女史は、25年間宝石商のオフィスマネジャーとして働きながら投資を行い、多くの財産を手に入れた。将来カナダで何世代にもわたって楽しまれる素晴らしい音楽の遺産を作り出すことを考えるようになった。

 

パーキンソン病を患っていた彼女は、1991年残りの人生が長くないことを悟り、故郷の街カルガリーで国際ピアノコンクールを創設するために500万カナダドル(現在のレートで約4億4,000万)を寄付した。彼女の願いは、このコンクールが若い音楽家が活躍するためのきっかけとなり、また街の人々の大きな誇りの源となることであった。迅速に審査員が集められ芸術監督が任命された。彼らの挑戦は、ホーネンス女史が生きている間に第1回のコンクールを開催することであった。

 

 

1992年11月、89歳だったホーネンス女史はジャック・シンガー・ホールに特別に設けられた部屋でファイナルコンサートを見届け、その5日後にこの世を去った。

カルガリーの街並み

Photos by IMC Music